私は離れた場所に並ぶ友人の背中を見つめる。

「はい!」
「最終試験、合格! 正式にレヴァンタ王国騎士団への入団を認める!」

 瞬間、イリアスの驚きと興奮がここまで伝わってきた気がした。

「ありがとうございます!」

 少し上擦ったその声を聞いて、私まで涙が出そうになってしまった。

(良かったな、イリアス)

 イリアスの強さや頑張りは私も近くで見て知っているし、友人が夢を叶えたことが素直に嬉しかった。
 大分遅れを取ってしまっているが、私も頑張らねばと思った。

「以上!」
「戦のときが迫っている。皆、これまで以上に精進するように!」

 そんなラディス団長の言葉でその場は解散となった。
 先ずは友人に祝いの言葉を贈ってやらねばとその姿を探していると。

「!?」

 突然目の前が真っ暗になったと思ったら強い力で抱きしめられびっくりする。

「イリアス!?」

 そう、それは今探していた友人だった。視界の端に映った赤毛でわかった。
 彼は私を抱きしめたまま涙声で叫んだ。

「トーラ! 俺やったぞ。騎士になれたんだ!」
「うん。おめでとう、イリアス」

 私はその背中をポンポンと叩きながら祝いの言葉を贈る。