「じゃあ、この辺で降ろしてやろうか? 今ならまだ自力で戻れるだろ」
少し意地悪かもしれないがそう言うと、イリアスはぴたっと叫ぶのをやめた。
そして私を見上げ、引きつりまくった真剣な顔でふるふると首をふった。
「いや、絶対についてく」
「ならもう少し静かにしてくれると助かるんだけどな」
「じゃ、じゃあさ、もう少しだけ低く飛んでくれないか?」
「あんま低く飛ぶと誰かに見られちまうかもしれないだろ?」
「そうだけどさ〜、でもだって高過ぎだろ〜。ほら人がまるで豆粒みたい……ってうわこっわーー!」
「だから下見るなってのに」
そして再び絶叫が始まってしまい、私はまた大きなため息をついたのだった。
そのままやはり一時間ほどが経った頃だろうか。
小高い山の頂上にレヴァンタの城に勝るとも劣らない立派な城が見えてきた。
「あれがバラノス城か?」
もはや叫び疲れぐったりとしていたイリアスがゆっくりと顔を上げた。
「多分……」
「多分って」
「だって、俺見たことねーし……でも、山のてっぺんにあるって聞いてるし間違いないと思う、多分」
「わかった」
少々不安はあるが、私はその山に向かい少しずつ高度を下げていった。



