男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される


 戦争を経験したことのない、平和ボケした奴の考えかもしれない。
 でも、このまま何もせずただこの国の勝利を喜ぶなんて私には出来ない。

 だって私なら呪いを解くことが出来るのだ。
 私のせいで今も苦しんでいるかもしれない人たちを助けることが出来るのだ。

「だから頼む、イリアス。行かせてくれ」
「……」

 じっとその目を見つめながら懇願すると、痛いほどに強く掴まれていた腕がふっと緩んだ。

「わかった」
「!」
「でも、俺も一緒に行く」

 それを聞いて今度は私が目を大きくした。

「で、でも」
「それは絶対に譲れない」

 イリアスが真剣な眼差しで続ける。

「聖女を守るのが騎士の役目だ」
「!」
「それに、親友が危険な場所に行くってのに放っておけるかよ」
「でも、お前……」
「行くって言ったら行く。絶対一人でなんて行かせねーからな」
「いや、そうじゃなくて」
「あ?」
「オレ、空飛んでくつもりなんたけど、お前平気か?」
「う゛っ」

 天井を指差し言うと、今さっきまで勇ましかった友人の顔が一気に崩れた。

「……で、でも、絶対、一緒についてくし」

 途端弱々しくなったその声を聞いて、ついつい笑みがこぼれてしまった。

「ありがとな。イリアス」