男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される



「お前の今日の予定は?」

 部屋に戻り、いつものように簡単に身支度をしながら明るく訊く。

「え?」
「こういうときの騎士の仕事がやっぱあるんだろ?」

 するとイリアスは目を瞬いた。

「どうだろ。先輩に訊いてみねーと……って、違う! 俺には団長から直々に与えられたお前を守るって任務があんだよ」

 慌てたようにイリアスは顔を引き締めた。
 内心で舌打ちをしながら私は苦笑する。

「あんなの無視でいいって。意味わかんないよな。ここにいて何から守るってんだよ。過保護か」
「いや、無視ってわけには……」
「オレはまず厩舎の掃除かなぁ。残ってる馬たちの世話もしてやらないと。あといい加減飛び乗りも出来るようにならねーとな」

 言いながら私はイリアスの前を通り過ぎドアへと向かう。

「んじゃ、また夕飯時にな」
「待てよ」

 ガシッと、ドアにかけた反対の腕を強く掴まれた。
 振り向けばイリアスが怖い顔でこちらを見つめていて。

「お前、まさか」
「なんだよ、離せよ」

 笑って振り払おうとするが、その手は離れなかった。

「バラノスに行くつもりか?」
「……っ」

 不覚にも、それを聞いて笑顔が引きつってしまった。