「オレがなかなか昇級出来ないから、そのアドバイスだ」
「ラディス団長が? お前に?」

 それはそれで驚いたようだが、嘘ではない。私だって驚いた。

「団長もオレを見ててイライラしたんじゃないのか? なんか根本的なとこが間違ってるって言われて。それでわざわざ呼び出したみたいだ」
「それでなんで灯りを消したんだ?」
「それは、暗くても相手の気配を感じ取れるようにって……」

 内心焦りつつ適当にそれっぽいデタラメを言うと、それでもイリアスは納得してくれたようだった。
 椅子の背もたれに寄りかかり、ふぅ~と長い溜息を吐いた。

「そういうことだったのか~、あ~良かった〜。昨日お前が部屋に戻ってきたとき、俺どういう顔をしていいかわからなくってさ、思わず寝たふりしちまったっつーの」
「なんだ、あのとき起きてたのか」
「あぁ。友達が大変な目に遭ったかもしれないってのに俺は何もしてやれないって、自己嫌悪にまで陥ってたんだからな」
「イリアス……お前、本当にイイ奴だな」

 ちょっと感動してしまった。
 同時に良心がチクチクと痛んだ。