「げほっ、ごほっ!」
「お、おい、マジで大丈夫かトーラ」
焦るように席から立ち上がり大袈裟に心配するイリアス。
「ち、ちが、」
「やっぱ血が出てるのか!?」
「ちっがーーう!!」
私はごくりとパンを飲み込んでから、大きな声で否定した。
お蔭で食堂の視線を一気に浴びてしまい、私は肩を縮こませ小声で続けた。
「全っ然、そういうのじゃなかったから!」
「そうなのか?」
「当ったり前だろ!」
色んな意味で顔が熱い。
まったく、朝起きた時からなんだか浮かない顔をしているなぁとは思っていたが、まさかそんなことを考えていたなんて。
勘弁して欲しい。
「じゃあ、何してたんだよ。部屋の灯りまで消してよ」
疑いの眼差しを向けられギクリとする。
「見てたのかよ!?」
「見てたっていうか、気になって外から団長の部屋を見上げたら暗かったから……」
私たちが空を飛んでいるときだろうか、どうやらその場面を見られたわけではないようで、私は動揺を隠しながら答える。
「単に、アドバイスをもらっただけだ」
「アドバイス?」



