男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される


 私は顔を上げて、フヌーディの目をまっすぐに見返した。

「少なくとも、うちの騎士団にそんな奴はいない」

 それは、今騎士団に身を置く私だからこそ、胸を張って言えることだ。
 もし非道なことを考える奴がいたとしても、それを止める奴が絶対にいる。

 それが、ラディス団長率いるレヴァンタ騎士団だ。

「……っ」

 私の強い眼差しにフヌーディは一瞬怯んだように顔を歪めた。
 静かに私は続ける。

「オレは、ダフニさんに例の書物を見せてもらったら、ふたりと一緒にこの村を出るつもりだ」
「!?」

 私の言葉に皆が息を呑んだ。
 フヌーディがこちらを睨む。

「騎士団に戻るってのか」
「異世界に帰るってこと?」

 彼の声にフェリーツィアの声が重なった。
 私はゆっくりと首を横に振る。

「わからない。……でも、悪いけどこの村に残るつもりはないよ」
「そんな……」

 はっきりとそう答えると、フェリーツィアがショックを受けたような顔をした。