先ほどまでこいつが座っていた机の後ろにある大きな窓を指差す。
今はカーテンが閉められているが、その向こうはバルコニーになっているはずだ。
2階にあるこの団長の部屋を外から見上げたことがあるから確かだ。
「夜空を飛び回るの、最っ高に気持ち良いんだ!」
にぃっと笑って言うと奴の目が期待に見開かれた。
しかし、それは一瞬で。
「いや、しかし」
「怖いのか?」
そう訊くとその眉間にいつものように皴が寄ってしまった。
「違う。他の者に見られたらと」
「あ~、でももう暗いし、部屋の灯りを消しちゃえば見えないだろ」
「……お前、まさかいつもそうやって部屋を抜け出しているのか?」
じろりと睨まれ、しまったと思う。
まんまと墓穴を掘ってしまった。
「い、いつもじゃない! たま~にだ、ホント、たま~に!」
私がそう弁解するとラディスは、はぁと息を吐いた。
「下ろしてくれ」
「え?」
「……灯りを消す」
渋面で彼は言った。



