他の先輩騎士たちも少し疲れているように見えた。イェラーキのスピードについて来るのはやはり大変だったのかもしれない。
とくに新米騎士であるイリアスは馬の手綱を引きながらぐったりと肩を落としていて少し心配になった。
ラディスが足を止めたのは大通りにある2階建ての建物の前だ。ここが今日の宿のようだ。
一階は食堂になっているらしく、外まで人々の楽しそうな話し声と良い香りがしてくる。
私は2階を見上げながら前働いていた食堂兼宿『ヴィオーラ亭』を思い出していた。
(ヴィオーラ亭の方が部屋数は多そうだな)
それにヴィオーラ亭の方が窓や入口に花を飾ったりしてお洒落だった。
比べてこちらは年季の入った質素なつくりの宿だった。
先に中に入っていった先輩騎士が間もなく戻ってきて、宿の裏に馬小屋があるとラディスに伝えた。
イェラーキたち乗ってきた馬を各々その小屋に繋いでいる最中、イリアスと目が合った。



