男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される


「――な、何言ってんだよイリアス!」

 ラディスの顔が一層険しくなったのがわかって、私は彼を止めようと立ち上がった。
 その間もイリアスは頭を下げたまま、何かラディスに話し続けていて。
 その内容は聞こえなかったけれど、私が彼らの傍に駆け寄ったそのとき、ラディスが小さく溜息を吐いた。

「すぐに支度をして中庭に来い」
「えっ!?」
「ありがとうございます!」

 私の驚いた声とイリアスの歓声が重なった。
 ラディスは私を一瞥するとそのままくるりと背を向け行ってしまった。

 呆気にとられているとイリアスは私の方を見てニカっと笑った。

「というわけで、俺も一緒に行くことになったから。よろしくな!」

 その笑顔を見てなんだかムッとしてしまった。

「てかお前、守るってなんだよ! そりゃオレはまだ見習いで頼りないかもしれないけどさ」
「ごめんトーラ! 俺、急いで支度してくるからまたあとでな! あっ、食器俺のも一緒に片付けといてくれると助かる!」
「はぁ!?」