「トーラ!」
「え?」
イリアスと共に食堂に入った途端あちこちから名を呼ばれたかと思うと、顔見知りの奴らが一気にこちらに駆け寄ってきた。
「もう大丈夫なのかよ、トーラ」
「マジで大変だったな」
「お前がいてくれてホント助かったよ」
「え、えっと……」
戸惑っているとイリアスが小さく私に耳打ちした。
「今お前はこのレヴァンタ騎士団を救った超有名人だからな」
「えっ」
「トーラ、本当にありがとな」
「すげぇよトーラ!」
皆に称賛されて少し照れくさくなって「いやあ」と苦笑していると。
「トーラにそんな才能があったなんてなぁ。俺もどっか調子悪くなったら今度診てもらっていいか?」
「俺も俺も!」
そんなふうに言われて今度は焦ってしまう。
「いや、でもほんと大したことは出来ないんだ。今回はマジで運が良かっただけでさ」
さっきイリアスにも言った台詞を繰り返す。
すると、見習いのひとりが言った。
「でも言われてみればさ、たまにトーラそういうとこあったよな」
「え?」
「俺が頭痛かった時に、ここ冷やすと楽になるかもよって言われてさ」
米神を押さえ彼は続けた。
「そしたらマジで良くなったんだよ」
「そ、そんなことオレ言ったっけ?」
昔、片頭痛が酷かったときにネットで調べた方法だ。



