昨夜ラディスがぶち壊したドアは大分歪んでしまっていたが応急的に直したのか一応部屋の扉としての役割は果たしていて。
それをまた壊してしまわないようゆっくりと開けていく。
「ただいま……」
「トーラ!」
私は友人の大きな声に迎えられた。
イリアスは身支度の途中だったのか騎士の制服を中途半端に着た状態ですぐにこちらに駆け寄ってきた。
そして私の全身を見回し心配そうに言った。
「もう大丈夫なのか? 呪いに近付き過ぎて倒れたって聞いたけど」
そういうことになっているのかと思いながら私は苦笑する。
「あ、ああ。もう大丈夫だ。心配かけてごめん」
やっぱりまだ少し気まずく思いながら謝る。
――お前の方が俺に隠し事してるんじゃ、信じたくても信じられねーよ。
昨日言われたあの言葉が頭を過った。
「謝るのはこっちの方だろ。昨日は本当に悪かった」
「いや、あれは」
「いくら呪いにやられてたって言っても友達を殺そうとするなんて……俺、自分が許せなくて。本当にごめん」
そうしてもう一度頭を下げられて、私はそんな友人を見つめながらぐっと拳を握る。
「イリアス……でもオレも、お前に色々隠してて……」
「団長から聞いたよ。医術の心得があるって」
「う、うん」



