と、ラディスの頬がピクリと引き攣ったのがわかって私は首を振る。
「言わないから! さっきの医術の話、あいつも聞いてたんだろ? それでなんとか誤魔化すよ」
「……すまないな」
そしてラディスはベッドから降りた。
私も小さく息を吐いてからそれに続いてベッドを降りて。
「藤花」
「ん?」
気がつけば間近に彼の顔があって、ちゅっと軽く口づけられた。
「ちゃんとトーラになってから部屋を出ろよ」
「〜〜っ、わかってるよ!」
不意を突かれて真っ赤になった私を見て満足そうに笑い、彼は寝室を出ていった。
(まったく、油断も隙も無い!)
部屋を出る前にこの赤い顔をどうにかしなきゃいけなくなったじゃないか。



