「というか、ここは……?」
キョロキョロとその部屋を見回す。
今私たちがいる大きなベッドとチェストくらいしか置いてないシンプルな寝室だ。
分厚いカーテンの向こうが明るくて、もう朝だということはわかったけれど。
「俺の寝室だ」
「ラディスの?」
ということは前に入ったあの部屋の続き部屋だろうか。
しかしなぜ私がラディスの寝室で寝ているのかやっぱり意味がわからない。
「元気そうで安心した」
「え?」
言いながらラディスも起き上がった。
「昨夜、意識を失ったことは覚えているか?」
「意識を? ……あっ」
思い出した。というより思い当たった。
昨夜、13人目の解呪に成功したところまでは覚えているが、そこで記憶がぷつりと途切れている。
「藤花の姿のまま倒れたからな。この部屋に運ぶしかなかったんだ。皆に見られないように運ぶのはなかなか大変だったぞ」
そう説明されて慌てる。
どうやらかなり面倒を掛けてしまったようだ。
「そ、そうだったのか。悪かった」
「いや、謝ることはない。お前は本当によくやってくれた。お陰で今のところひとりの被害者も出ていない」
それを聞いて改めてほっとする。
「心から感謝している。お前がいてくれて本当に助かった」
騎士団長の顔でお礼を言われ、少し照れくさくなった。



