(うっわ……)

 容赦ないそれを見て思わず肩を竦める。
 その場に崩れ落ちた男を床に寝かせるとラディスはこちらを振り返った。

「行けるか?」
「う、うん」

 するとラディスは一度こちらに戻ってきて倒れたドアを持ち上げバタンと部屋を閉め切った。
 それを見て私はすぐに元の姿に戻る。

「何度も立て続けにすまない。辛くなったらすぐに言うんだぞ」
「うん。でも、なんとなくコツが掴めてきたし、大丈夫」

 それに、ここで私がへこたれたりしたら彼女に負けることになる。
 それは絶対に嫌だった。

 私は泡を吹いて倒れている男の手に触れ、目を閉じ集中した。



 ――こうして、私とラディスは次々と呪いに侵された者を解呪していった。
 イリアスのようにお守りの話をした途端正気を失って襲ってくる者、キアノス副長のようにぐったりと寝込んでいた者、総勢13人。

 彼らが持っていたお守り、もとい、呪いのサシェは全て火でしっかりと燃やした。

 サシェはシャツの胸ポケットや制服のポケットに入れている者がほとんどで、どうやら皆彼女に甘い声で囁かれたようだ。

「貴女様の身を護ってくれるお守りです。肌身離さずしっかり持っていてくださいね」と。


 全てが終わったのは深夜だった。