「俺が、トーラを……?」
「そうだ」
「だ、大丈夫だから! なんともないから!」

 言いながら思わず、首の跡を隠そうと手をやったのが失敗だった。
 彼の目がその場所を見て大きく見開かれる。

「それ、俺が、やったのか……?」
「あ、いや、だからお前のせいじゃなくて、呪いのせいだから! 気にするなって!」

 そう笑いながら言うが、しかしイリアスはその場で膝をついて頭を下げた。

「ごめんトーラ! 許してくれ!」
「いやいやいや、だから大丈夫だって!」
「大丈夫ではないだろう」
「ラディス!」

 もう一度彼を睨み上げてから、私はまだうまく力の入らない足でなんとかベッドから降りイリアスの肩に手をやった。

「イリアス、本当に大丈夫だから。顔を上げてくれ」
「トーラ……でも、俺、とんでもないことを……」
「イリアス! 今はそれどこじゃないんだ!」

 私が強く言うと、イリアスは漸く顔を上げた。
 私は真剣に続ける。

「呪いにやられてるのはお前だけじゃない。副長が倒れたのもそのせいだったんだ。聖女様にお守りをもらった奴ら皆が危ない」
「え……?」
「お前の他にいないか? お守りをもらった奴」
「何人か、知ってるけど」
「!?」

 私は驚きラディスの方を見上げた。
 ラディスは苦い顔で頷いた。

「イリアス、そいつらのところに今すぐ案内してくれ」