「遠く離れた人と? それは確かに便利だね。『ドウガ』とはなんだい?」
「動く絵と言いますか、例えば今このときの私たちの姿や会話をそのまま残して、いつでもそれを見返すことが出来たり」
「そんなことが可能なのかい?」
「はい! ……あ、でもその仕組みについては私もよくはわかってなくて……」

 きちんと説明できないことがもどかしかった。

(もっと色々ちゃんと勉強しておけば良かった……!)

「他には?」
「えーと……あ、馬の代わりに自動車や電車という乗り物があって、それに乗れば馬よりも早く移動できます。あ、あと飛行機という乗り物は500人とかいっぺんに空を飛んで遠い国へ行くことが出来ます」
「500人いっぺんに? そんな乗り物があったら戦のとき便利だなぁ」
「あっ、宇宙まで行く乗り物もあります!」
「ウチュウ?」
「空の、もっともっと上です」

 天井を指差し私は少し興奮気味に続ける。
 信じてもらうために必死だった。

「それに乗って月に行った人もいます!」
「月って、空の月かい?」
「はい!」
「それは凄いね。私も行ってみたいなぁ。それで、もっと他には?」
「え、えっと……」
「お前、楽しんでるだろう」

 隣から呆れたような声が聞こえてきて私はぴたりと考えるのをやめた。