ラディスはほっとした顔をして、そのまま私の手を引いてベッドの方へと向かった。

 緊張を覚えながら私はキアノス副長の前に立つ。
 身体を起こしていた副長は、私を見て柔らかく微笑んだ。

「話を聞いている限り、君が私を治してくれたみたいだね。ありがとう」
「い、いえ……治って良かったです」

 大分ぎこちないだろう笑顔を返す。
 するとキアノス副長は隣に立つラディスへと視線を向けた。

「それで彼女は? 君とはどういう関係? 随分仲良さそうだったけど」
「気付かないか?」
「え?」

 ラディスの言葉にキアノス副長は小さく声を上げた。

「一応、お前も知っている奴だが」
「え……?」

 じっと見つめられて、なんだか顔が熱くなってきた。

「……ごめん、わからないや。どこかで会ったことがあったかな?」
「トーラだ」
「え?」

 キアノス副長が目をぱちくりとさせた。