見慣れた天井を見て、夢だとわかりほっと息を吐く。
 ……なんて嫌な夢だろう。
 昨日考えていたことがモロに出てしまったようだ。

 ――私がこの世界に来て早2年。
 来たばかりの頃は、あの宿で向こうの世界の夢をよく見ていた気がする。いつの間にかあまり見なくなっていたけれど。

(皆、どうしてるかな……)

 あれから2年だ。友人たちは高校を卒業して、今は大学生か専門生だろうか。
 部活の仲間たちとは全国に行こうと約束していたのに結局果たせなかった。きっと、迷惑をかけてしまったに違いない。
 あの頃慕ってくれていた後輩たちも、もう引退した頃だろうか。

 こんなことを考えたってどうしようもないのに、急に自分だけ置いていかれたような寂しさを覚えた。

「……はぁ、最悪だ」
「何が最悪なんだ?」
「!?」

 声のした方を向けば、イリアスがベッドに横になったままこちらを見ていた。