(そういえば私、この世界にいつまでいられるんだろう)
元々は帰るために、その方法が書いてあるかもしれない本を探すために騎士を目指したというのに。
出会った頃のラディスの言葉が蘇った。
『 突然来たというなら、突然帰れるかもしれない 』
今、もし突然元いた世界に戻ってしまったら、それこそラディスとはもう二度と会えなくなってしまう。
ラディスだけじゃない。
イリアスやザフィーリ、寄宿舎の仲間たち、お世話になった女将さん、この世界で出逢った全ての人たちにだ。
そう思ったら急に、足元が崩れていくような、そんな不安に襲われた。
もしそうなったとき、果たして私は先ほどのザフィーリのように「出逢えた運命に感謝している」なんて、言えるだろうか……?



