ザフィーリから再び呼び出しが掛かったのはその翌日の昼のことだった。

「昨日は色々と無理を言ってすまなかったね」

 昨日と同じ人気のない寄宿舎裏でいきなり謝罪されて、また何を言われるかとビクビクしていた私は驚いた。

(まさか、あのザフィーリから謝られる日が来るなんて)

 ラディスが彼にどういう話をしたかはわからないが、余程堪えたのだろう。
 罪悪感を覚えるが、トーラとしては知らないふりをしなくてはならない。

「いや。それで、会えたのか? 妹と」
「ああ、会えたよ」
「そうか、良かったじゃないか」
「でも、僕の気持ちは受け取ってもらえなかった」

 そうして彼は目を伏せた。

「そ、そうだったのか……」

 あの後、彼が宿に行ったのかどうか私にはわからない。でも。

「悪かったな」

 そんな謝罪の言葉が口を突いて出ていた。