「そもそも私がもっとしっかりしていれば、こんなことにはなってなかった。ごめん。お前のせいじゃないのに」
「いや。……抱きしめてもいいか?」

 訊かれて見上げれば、先ほどとは全く違う穏やかなグリーンの双眸があって、私はこくりと頷いた。
 そうしてやんわりと抱きしめられて、その温もりにほっとする。

「今度何かあったら、先ず俺に相談して欲しい」
「でも、迷惑じゃないか」
「お前のことで、迷惑なんて思うことはない」
「……わかった」

 頷くと、髪を優しく撫でられた。

「怖がらせて、悪かった」
「べ、別に怖がってなんか」

 ……正直言うと少し怖かった。
 でも、それを認めるのはなんだか癪で。

「こういうのは、もっとゆっくりがいい」
「ああ、わかった」
「キスも、そんなに何度もしなくていいし、さっきみたいな苦しいのは嫌だ」
「わ、わかった」
「それと……そうだ。これからはあんまり話しかけてこないで欲しい」
「話しかけるのもダメなのか!?」

 慌てたように身体を離し問われて、その必死な顔に思わずふっと笑いが漏れてしまった。
 お蔭で、漸くいつもの調子が戻ってきた。