言い出したら止まらなくなった。
「こちとら初めてだってのに、今だってこんなわけわからん苦しいキスしやがって! 全部早過ぎなんだよ少しは加減しろバカ!」
そこまで喚いてから私は自分の視界がぼやけていることに気づいた。興奮しすぎて涙まで出てきたみたいだ。
こんな格好悪い姿見られたくなくて、いつの間にか解放されていた手でシーツを手繰り寄せ頭から被る。
(最悪だっ!)
シーツの中で溢れてくる涙をなんとか止めようとひとり唸っていると、そっと頭を撫でられた。
「藤花、」
「煩い触んな!」
先ほどとは一転、弱々しい声が降ってくる。
「藤花、悪かった。てっきりお前があいつに恋をしたのだと」
「するかよ! 私はそんなほいほい好きな奴を変えるような軽い女じゃねーんだよ!」
「そうだな。わかっている。わかってはいるんだが……本当にすまなかった」
その声音から困り果てた様子が伝わってきて、私はシーツの中で何度か深呼吸をして自分を落ち着かせることに集中した。
「……藤花?」
「私も、悪かった」
ゆっくりと起き上がりながら、もぞもぞとシーツから顔を出す。



