「好きになったら頭の中その人のことばっかりになるし、ちょっとしたことで馬鹿みたいに浮かれたり不安になったりするし……自分でも抑えがきかないんだ!」

 ――まるで、自分が言われたような気がした。
 以前までの私だったら、ラディスと同じように思っただろう。
 あいつ、馬鹿だなと。
 でも、今はあいつの気持ちがわかるから。

「恋ってそういうもんだろ? お前には、わからないかもしれないけど」

 そう言った途端だった。
 ラディスの顔が怒りに歪むのを見た。

「!」

 ぐいと強く腕を引かれ、気付いたら私はベッドに押し倒されていた。

「――なっ!?」

 両腕をベッドに押さえつけられ、そんな状況にかぁっと顔が熱くなる。
 しかし怒りを孕んだ緑の双眸に見下ろされ私は息を呑んだ。

「俺だって、十分お前に狂わされている」
「え……?」

 その口端がいびつに上がる。

「惚れられて、絆されたか?」
「え?」
「良かったな、相思相愛じゃないか」

 ラディスが何を言っているのかわからない。

「だが、悪いが俺はお前を手放すつもりはない」