「だから、君なら彼女について何か知っているのではと思って、こうして君を呼び出したわけさ」
……どうする。
とりあえずは、しらばっくれるか。
「オレらの部屋に? まさか、見間違えじゃないのか? あ、イリアスにはもう訊いてみたのか?」
すると途端にザフィーリの顔が嫌そうに歪んだ。
「彼にこんな話出来るわけないだろう。可能な限り彼とは会話しないようにしているんだ。お互いのためにね」
「そ、そうか」
本当に仲悪いんだなと思うと同時に、イリアスはこの件について何も知らないのだとわかりホッとする。……しかし。
「それにね、心なしかその人は君に似ていた気がするんだよ」
ギクリとした。
それが顔に出てしまったのかもしれない。
レンズの向こうの目が険しくなった気がした。
「それでね、僕なりに考えてみたんだ。もしかして彼女は……」
ゴクリと思わず喉が鳴る。
「トーラ、君の血縁者なんじゃないのかい?」
「……え?」
またも、呆けた声が出てしまった。
(血縁者……?)
ザフィーリは真面目な顔で続ける。
「そう考えたらとてもしっくりと来たんだ。彼女も君も同じ黒髪で黒い目。君は、なんらかの事情でこっそりと彼女を部屋に匿っているんじゃないのかい?」
「え、えーっと」
確かに、めちゃくちゃ辻褄は合う。すごくそれっぽい。



