背後で笑い声が聞こえた気がして、なんだ? と思いながらゆっくりと起き上がって振り返る。
そこには同じ騎士見習いの男がニヤニヤとした笑みを浮かべ立っていた。
(確か、こいつは……)
名前は出てこないが、私よりも後に騎士見習いとして入ってきて、私よりも先に一次試験に受かっていた奴だ。
ガタイが良く、見た目はまるで元いた世界のヤンキーがチンピラのようで、こういう柄の悪い奴も騎士になりたいんだなあと意外に思った記憶がある。
だが今この場にいるということは、この間の昇級試験には合格出来なかったのだろう。
彼の後ろには同じようなタイプの仲間が2人いて、私を見てやっぱりニタニタと笑っていた。
(え? なんだ、これ)
意味がわからず膝をついたままポカンとしていると、その男は言った。
「いいよなぁ、お気に入りはよ」
「は?」
「このまま二次試験も軽〜く突破か?」
それを聞いて私は朝イリアスに言われたことを思い出した。



