ためらい・亀裂・そして恋

5話
【シーン】 大学の部室
コマ割りイメージ: 広めの部室に、雪、智樹、蒼太、みやこの4人がいる。みやこが厳しい顔でゲーム画面を覗き込んでいる。
蒼太(呆れたように、ため息混じりに) 「弱い…」
みやこ(怖い顔で、蒼太に同意するように) 「弱い…」
雪と智樹、みやこたちの迫力に思わずビクッと体が震える。
みやこ(腕組みをして、イラつきながら) 「ちょっとなんであんたたちこんなに弱いのよ~~!!」
雪(縮こまりながら、焦って) 「ご、ごめん私今までエンジョイ勢で、ストーリークリアしたらそれで満足してて。あ、グッズとかは結構好きで。」
智樹(雪に同意するように、おどおどと) 「俺も…!プニゴンが可愛くて、プニゴンばっか育てちゃって。」
雪(智樹に顔を向け、嬉しそうに) 「わかる~~プニゴン超かわいいよね!!」
智樹(少し顔を赤らめて) 「そうそう!あのフォルムが…」
コマ割りイメージ: 二人の背後で、みやこが**ゴゴゴゴゴゴ…**という効果音と共に、怒りのオーラを放っている。
みやこ(激しい口調で) 「いい加減にしなさい!一から育て直し!!!バトルもきっちり教えるわよ!!!蒼太くんも手伝って!」
雪と智樹、揃って正座し、縮こまって。
雪・智樹(小さく) 「…はい。」

コマ割りイメージ: 蒼太が雪のゲーム画面を覗き込んでいる。二人の顔が近い。
蒼太(雪のゲーム画面を見ながら) 「あれ、そのプニゴン…」
雪(画面を見せながら、懐かしそうに) 「あ、そういえばこれ蒼太から貰ったんだっけ?めっちゃ大事に育ててんだー。新しいバージョン発売されてもぜった連れてきてるもん。」
コマ割りイメージ: 蒼太が、少しだけ照れたような、そして嬉しそうな表情をする。彼の頬が微かに赤らむ。
蒼太(照れ隠しのように、そっけないふりをして) 「…ふーん。」
蒼太(再びゲーム画面に目を戻し、口調を変えて) 「それにしてもなんだこのステータス…。」
雪(素朴な疑問を口にする) 「え、レベル上げるだけじゃダメなの?」
蒼太(呆れたように) 「ダメに決まってんだろ。瞬発力に特化するとか色々あんだよ。」
コマ割りイメージ: 雪が、ゲームの指導をする蒼太を横顔で見つめている。
雪(モノローグ) (それにしても…蒼太ってほんと顔整ってるよなー。考えてみれば昔から結構整ってたかも…。それに、なんか甘い匂いする。なんかふわふわしたいい匂い。…て何考えてんだ私。)
コマ割りイメージ: 蒼太のスマホが鳴り、画面に通知が表示されている。
チャララ~♪(蒼太のスマホの着信音)
蒼太(スマホを見て、少し焦ったように) 「やべ、そろそろ行かねーと。」
雪 「用事?」
蒼太(スマホをしまいながら、軽く) 「あっちのサークル。飲み会。」
雪(視線を伏せ、声が小さくなる) 「そっか…。」
雪(モノローグ) (なんか、モヤモヤする…蒼太が何しようと関係ないのに。)
コマ割りイメージ: 蒼太が部室を出ようとすると、みやこが腕組みをしてズイズイと近づいてくる。
みやこ(咎めるように) 「ちょっと~蒼太くん。サークルの時間くらい守ってよね。もー。」
蒼太「ヘイヘーイ」と軽く返事をしながら出る
みやこ(雪に顔を向け) 「そういえば、聞いてなかったけど、雪ちゃんって蒼太くんとなんかあんの?付き合ってんの?」
雪(顔を真っ赤にして、慌てて否定する) 「は!?つ、付き合ってるわけないでしょ!あんなやつ!昔幼馴染だっただけで!」
みやこ(ニヤニヤしながら、意味深な目線で) 「それでかー。いや、このサークル作るって決めたのも、蒼太くんきっかけなんだよね~。」
雪(驚きで目を見開く。心の中で) (え?蒼太…?)
コマ割りイメージ: みやこが雪の反応を楽しそうに見て、さらに続ける。
みやこ 「飲み会の時さ、雪ちゃん帰ってこなかったけど、蒼太くんだけ帰ってきて、『雪モンモン大好きだから、みやこちゃんもモンモン好きなら別のサークル作っちゃえば?』って。蒼太くんって雪のことめっちゃ大事にしてる気がしたから、もしかして~って思ってたけど…。…て雪ちゃん?」
雪の目から、ポロポロと大粒の涙がこぼれ落ちる。
コマ割りイメージ: 涙が頬を伝い落ちる雪の顔のアップ。彼女の脳裏に、昔の蒼太との思い出がフラッシュバックする。
雪(モノローグ) (蒼太はいつも蒼太だ。昔もそうだった。なんだかんだいつも助けてくれた。不器用でわかりづらいけど、辛い時はいつも…。)
雪(モノローグ) (私、あの時蒼太を傷つけたんだ。思ってた以上に傷つけた。今ならあの時蒼太がどんな気持ちだったか、わかる。)
コマ割りイメージ: 雪の頬を涙が伝う。その目に強い光が宿る。
雪(モノローグ) (だって…**蒼太を好きになってしまったから。**私、遊び人でも、今の蒼太が好きだ。)
コマ割りイメージ: その様子を、智樹が真剣な眼差しで、静かに見つめている。彼の瞳には、複雑な感情が入り混じっている。
智樹 「…」