居間で2人、慎重な顔をしてどうしようか考えてる。
「えっ…と」
最初に口を開いたのは、アラレだった。
「なに?」
出来るだけやんわりとした口調で喋る。
「ご、ごめん!」
「……え?」
アラレの口から、思いがけない言葉が走った。
「ひっ、酷いなんて言ったのには、理由があったんだ…」
「…ぁー、」
思い出した。
家に帰って直ぐ、アラレはそういったんだっけ?
てか、気にしてないし。
「…千影に嫉妬、しちゃって……」
「嫉妬、?」
驚いた。アラレには嫉妬というものがあったんだ。
完璧で忠誠心が強い、アラレには明確な感情というものがないと思っていた。
「みんなに囲まれてて、前は俺の居場所だったのにー、って、羨ましてくて、妬ましくて」
「アラレ…」
そう思えば私、アラレのことなんにも知らなかった。
『完璧な人』
その印象が固まっていた。
なんかアラレ、年相応に見える。いや、年は知らないけど。
「ふっ、」
「え、千影…?」
「なぁんだ!そういうことね〜」
思わず笑ってしまった。
アラレは戸惑いを見せたが、
「…うん、多分そういうこと」
と、また明るく笑った。
1日の大きな喧嘩は、もう1ヶ月続いた喧嘩のように永く感じる期間だった。でも、たった数分で、糸も簡単に終わってしまった。
雨上がりのように気持ちのいい気分だ。
話し合いというほどの話し合いではなかったけど、終わりよければ全て良しってね!