サヨナラじゃない

【Arare】
帰りも、あのことーー千影がみんなに囲まれてることーーが頭から離れなかった。
…ズルい。
新参者の癖に直ぐに人気者になった千影に、もやもやした感情を抱いた。
「この感情の名前は、なんて言うんだ…?」

◇◆◇

バンッ!
い、勢いで出てきてしまった。
『おーい?霰石(アラレ)?』
「あ、あぁ。悪い」
石川には少し、迷惑をかけるかもな。
「なんだよ、女か?女と喧嘩したのか??」
そのノリはまじでなんなんだよ。
だが、女というのはある意味、
「まあ、そうだ」
『はぁっ!?』
石川のことだから、多分。
『ちょッ、おま家泊まり来い!!詳しく聞かせろよっ!』
とか言うんだろうなー。
てか本当に言ったし。
『じゃなっ!』
ブチッ
おいおい、流石に切るのは想定外だぞ。
取り敢えず俺は、
『住所教えろよ』
とだけ、石川宛にメールを送信した。