サヨナラじゃない

「えー、神奈木は雨坂の隣な」
そう先生がいうと、「え?雨坂?」「根暗のあいつか…」「神奈木さんが可哀想」そんな声があたりから聞こえてくる。
意味がわかんないけど、とりま足が疲れてきた。
席に座りたくて雨坂ちゃんを探す。
……あれ?いなくない??
「こっ、こっち…」
ふと、雨坂ちゃんの小さな声が聞こえる。
そちらの方向を向くと、ピンク髪の明らかに根暗陰キャな男の子がいた。
え?いやいやいやいや、
雨坂ちゃんは女の子だよ!?
うんうん、あの子なはずない。
「先生、雨坂さんいません」
キリッとした目つきで言った。
「窓辺にいるぞ?」
呆れたような顔の先生。
改めて窓辺をみると、ピンク髪のあの男の子がいる。
「ほらっ!席座れー」
ついには先生に、グイグイ背中を押される始末。
席はやっぱり、
「……」
ピンク髪の男の子の隣だった。