——父が倒れた日から季節が変わり、葉が赤く染まる毎日が続いたある日のことだった。 「日高様!!天皇様が!!」 私はいつものように資料を整理していた。外はまだ日が高かった。 知られにきた者によれば父が危篤らしい。 走った。父がいる棟へとひたすら走った。 怖かった。父まで失いたくない。せっかく父と共に仕事ができるようになってきたのに。 目の前にいるのは苦しそうに息をする父と何をする訳でもなく立っている川津、それに川津の母だった。