数年ぶりに会う父はどこか記憶の中より地味な気がした。何年も会ってないのだ。記憶が補正をかけていても仕方ない。
「日高、久しぶりだな。美しくなって。……佐衣娘—さいのいらつめ—に似てきておるの」
「母上に……」
「ああ。日高はまだ幼かった故覚えておらんかもしれんがな」
「断片的には残っております」
嘘だ。母のことは何にも覚えていない。
たまに夢に現れる女性を母だと思っているだけ……。あの優しい声で私を呼ぶ彼女を。
あとは昔から都に仕える者たちの思い出話を聞き、勝手に母のことを知った気になっている。

