今日は、主従逆転遊びをしましょう。

 誰かの目があるところで、主従交換なんてしてしまえば、お父様に大目玉を食らうことは間違いないもの。

 私が期待して彼を見つめると、ふうっと息をついてグレンは頷いた。

「……かしこまりました」

「ね。これは、部屋の中だけよ。他の人に変に思われてもいけないでしょう……? だから、この遊びをしたことは、内緒にしてね。グレン」

「はい。かしこまりました。アデライザお嬢様」

 私が唇に人差し指を当てると、グレンは苦笑いで頷いた。

「ねえ。グレン。私用のメイド服を、借りて来てちょうだい」

「お嬢様。今、なんと?」

 グレンは驚いた表情で動きを止めて、私は早く早くと彼の体を扉の方向へと向けた。

「聞いていたでしょう? 私はメイドになるのよ! そうね。グレンはお父様の服を着れば良いのだわ。貴族らしくしてね」

「あの……二人の服も着替えてしまうのですか? 振りだけではなく」

 グレンは微妙な表情になり、自分の腕を持っている私を見た。