今日は、主従逆転遊びをしましょう。

 新入り執事だけれど、うちの邸で雇われたということは、これからも一緒に居るのよ! 仲良くなっていた方が、きっと良いと思うもの。

「はあ……僕はお坊ちゃまというより、成人した貴公子ということにしていただけません?」

 とんでもない遊びに呆れているグレンから抗議(クレーム)が入り、私は彼の年齢的なものを考えて納得して頷いた。

 確かに彼の年齢で『お坊ちゃま』と呼ばれるなんて、あまり考えられないもの。呼ぶとしたら母代わりに育ててくれた乳母くらいだわ。きっと。

「そうね。良いわ。確かに私もグレンのことをお坊ちゃまというのは、なんだか抵抗あるわ。グレン様にしましょう」

「僕の希望を聞き届けていただいて恐縮です。お嬢様」

 恭しくグレンは胸に手をあてて、軽く礼をした。

 まったく、大袈裟だわ。そんなことをしなくて良いのに。

「……遊びの期限はここから、三時間にしましょう。時間を決めておかないとね……夕食は流石に関係性交換は、出来ないもの」

 そこで私は、壁掛け時計を見た。今は午後のお茶をしたばかりなので、二時少し前だ。だから、三時間後の夕方五時に終わろうと彼に持ちかけた。