今日は、主従逆転遊びをしましょう。

 しばらく無言のままじっと見つめ合っていると、グレンは根負けしたのか私へ尋ねた。

 私は彼がこれから、どういう役割をするべきかと考えていたのだ。

「あらあら。ちゃんと、遊び方は既に考えては居るのよ。貴方だって楽しめると思うわ」

 私は自信満々に大きく頷いた。これは、幼い子ども同士のするような遊びでは決してないもの。

 ここでもまだ胡乱げな眼差しを私に送るグレンは、渋々ながらも遊びに付き合ってくれるようだ。

「かしこまりました。どのように、遊ばれますか?」

「ええ。今日するのは、主従逆転ごっこよ!」

 彼を指を差して言い放った私。思いもよらぬ言葉に呆気に取られたグレンは、驚き過ぎて動きが固まってしまったようだ。

 ふふふ……グレンのこういう反応も、無理もないわ。

 私もこんなことをしようなんて、普通であれば、決して思いつかなかったはずよ。

 今日、王都に住む友人から作家の新刊でこういう遊びをしていて、楽しそうだったと書いてあったのだ。

 けれど、両親の居る前で使用人と関係性交換など、決して許されるわけもないから残念だ……とも。

 ……そこで、私は気が付いた。