閉じた本を持ち上げ急に悪い表情になったグレンのいいように、私は言葉を失ってしまった。
だとするならば、グレン殿下は私と会いに王都から離れて、この遠い辺境にまでわざわざやって来ていた。
すべては、お茶会から逃げた私に会うためだけに。
「ちなみに領地に来てから俺が身分を明かして訪ねれば、アデライザの母は『絶対に逃げ出します』と断言していたが、その通りなのか?」
「え……ええ……そうなってしまうと思います」
完全に理解されている母の言葉に、私は苦笑いしてしまった。
だって、王子様と結婚するという重圧になんて耐えられそうもない。会わずに済むなら済ませたいと、全力で逃げ出してしまったかもしれない。
「さて、ジョプリング辺境伯令嬢アデライザ。ようやく縁談相手と会って、どう思う?」
「びっ……びっくりしました!」
本当にそう思って居たので、素直な気持ちを言った。
「良し。わかった。結婚しよう」
「え!?」
グレンはスッと立ち上がり、動きを止めた私の手を取って甲に口を付けた。
だとするならば、グレン殿下は私と会いに王都から離れて、この遠い辺境にまでわざわざやって来ていた。
すべては、お茶会から逃げた私に会うためだけに。
「ちなみに領地に来てから俺が身分を明かして訪ねれば、アデライザの母は『絶対に逃げ出します』と断言していたが、その通りなのか?」
「え……ええ……そうなってしまうと思います」
完全に理解されている母の言葉に、私は苦笑いしてしまった。
だって、王子様と結婚するという重圧になんて耐えられそうもない。会わずに済むなら済ませたいと、全力で逃げ出してしまったかもしれない。
「さて、ジョプリング辺境伯令嬢アデライザ。ようやく縁談相手と会って、どう思う?」
「びっ……びっくりしました!」
本当にそう思って居たので、素直な気持ちを言った。
「良し。わかった。結婚しよう」
「え!?」
グレンはスッと立ち上がり、動きを止めた私の手を取って甲に口を付けた。



