同じ名前の、二人のグレン……二人の兄、二人の姉。そして、おてんばな末娘。
それって、もしかしたら、この私のことかもしれない。
確かに王都に居る時に……王子様が出て来るような、改まった席なんて行きたくない……友だちと話していた方が楽しいと、馬車の行き先を勝手に変更して、父母の言いつけを破ったことがあったわ。
そして、グレンの、余裕ある態度……人を使い慣れた雰囲気。
もしかして、この人……。
「……あの、グレン……殿下? ですよね」
私は呼びかけに声が震えてしまった。
だって、王族との顔合わせに行かず、縁談があったグレン王子の顔をつぶしたことにならないかしら?
父母が縁談相手である私本人にそういう意図を言わなかったのは、そこでグレン殿下に私が気に入られなければ、立ち消えで終わってしまうだろうからだ。
臣下の娘たる私になんて、選択権があるわけがない。
それに、軍属だった第三王子の臣籍降下先に、跡継ぎ不在の辺境伯家なんて、あまりにも丁度良いかもしれない。
……冷たいものが背中に走っていった。
それって、もしかしたら、この私のことかもしれない。
確かに王都に居る時に……王子様が出て来るような、改まった席なんて行きたくない……友だちと話していた方が楽しいと、馬車の行き先を勝手に変更して、父母の言いつけを破ったことがあったわ。
そして、グレンの、余裕ある態度……人を使い慣れた雰囲気。
もしかして、この人……。
「……あの、グレン……殿下? ですよね」
私は呼びかけに声が震えてしまった。
だって、王族との顔合わせに行かず、縁談があったグレン王子の顔をつぶしたことにならないかしら?
父母が縁談相手である私本人にそういう意図を言わなかったのは、そこでグレン殿下に私が気に入られなければ、立ち消えで終わってしまうだろうからだ。
臣下の娘たる私になんて、選択権があるわけがない。
それに、軍属だった第三王子の臣籍降下先に、跡継ぎ不在の辺境伯家なんて、あまりにも丁度良いかもしれない。
……冷たいものが背中に走っていった。



