今日は、主従逆転遊びをしましょう。

 それにしても、雇い主のはずのお父様を、こんな風に評するなんて……グレンはとても演技が上手いわね。

「まあ……ありがとうございます。お父様も喜びますわ」

 私は微笑みメイド服のスカートを持ち、カーテシーをした。

「ところで、アデライザ。君はこの国の王族について、何処まで知っている?」

 貴族令息に扮したグレンは、私の貴族としての知識について、ここでテストをすることにでもしたらしい。

 ……別に構わないけれど、王族のことなんて、この国の人であれば誰でも知っているというのに。

「……はい。現国王陛下には、王子が三人、そして、姫が三人いらっしゃいます」

 我が国は跡継ぎ問題も問題なく、今後も安泰だと思われる。だって、第三王子まで息子が居るのなら、兄二人に何かがあるということは、あまり考えられないもの。

「そうだな。王子の名前は知っているか?」

「はい。もちろんです……サミュエル様、リース様、グレン様です」