「……ねえ。グレン。予定が何もなくて、暇よね。この辺境は本当に出来ることが少ないわ」
紅茶の入ったカップを机においた私は、窓の外をぼんやりと眺めて言った。
そこにあるのは、貴族の社交シーズンの終わりを告げる、紅葉した葉が茂る落葉樹。それに、私たちはお父様の都合で、王都からそうそうに領地たる辺境へと戻って来ていた。
ああ……暇だわ。とても暇。ここは時間が流れるのが、遅過ぎるのよ。大して刺激がないせいかしら。
この辺境には、私と同じ年頃の貴族令嬢は居ない。気心の知れた友人は、皆王都に住んでいるのだ。
同じ年頃の女の子は居るけれど、身分が違えば話題も違う。なんなら向こうから色々と遠慮されてしまうので、出来れば同じ身分の貴族令嬢と遊びたい。
次の社交シーズンは冬の終わり、春が来てから。今はもう見えないほどに、遠い未来のように思えてしまう。
こうした田舎に住むことに不満があるわけではないけれど、私は家に篭もっているよりも、誰かと話すことに喜びを見出す社交的な性質(タイプ)なのだ。
「アデライザお嬢様は……確かに、そうかもしれませんね」
紅茶の入ったカップを机においた私は、窓の外をぼんやりと眺めて言った。
そこにあるのは、貴族の社交シーズンの終わりを告げる、紅葉した葉が茂る落葉樹。それに、私たちはお父様の都合で、王都からそうそうに領地たる辺境へと戻って来ていた。
ああ……暇だわ。とても暇。ここは時間が流れるのが、遅過ぎるのよ。大して刺激がないせいかしら。
この辺境には、私と同じ年頃の貴族令嬢は居ない。気心の知れた友人は、皆王都に住んでいるのだ。
同じ年頃の女の子は居るけれど、身分が違えば話題も違う。なんなら向こうから色々と遠慮されてしまうので、出来れば同じ身分の貴族令嬢と遊びたい。
次の社交シーズンは冬の終わり、春が来てから。今はもう見えないほどに、遠い未来のように思えてしまう。
こうした田舎に住むことに不満があるわけではないけれど、私は家に篭もっているよりも、誰かと話すことに喜びを見出す社交的な性質(タイプ)なのだ。
「アデライザお嬢様は……確かに、そうかもしれませんね」



