■突然の告白
次の日の土曜日。
私は若干の二日酔いを引きずりながらも、通常通りの仕事をこなしていた。
因みに私が働く会社の定休日は水曜日と日曜日だ。
「木嶋くん、頼んでたデータまだきてないんだけど」
「あ、はい、今送りますー」
最近の若者と言ったら。何でこんな間延びした返事しかできないのだろう。しかも与えた簡単な仕事をまともにこなすこともできない。
だけど
「こっわー、木嶋くんまた前川さんに怒られてんじゃん?」
「木嶋も気の毒にな~、パワハラアラサー女、前川。美人なのに勿体ないよな~」
「いかにもキツそうな顔してんじゃない。だから結婚できないのよ」
と私の背後で後輩たちがこそこそ。
てか、聞こえてるっつーの。
何となく前の席を見やると塩原の席は空席になっていた。
ホワイトボードに”塩原:A社直行”となっていた。
『うち泊まっていけば…?』
あの発言を聞いた後に(幾ら冗談だと言われても)顔を合わすのは何となくキマヅイ。
ほっとしたのと、何だか心細いのと。
別に……
後輩の悪口なんていつものことだし、こんなことで一々くじけてられないし、事実いつもなら気にも留めていない。
塩原の席はとうとう埋まることなくお昼休みの休憩時間に入った。
「今日はどこに行こうかな」
何となく―――社食を利用しようと思えなかったのは、さっきの後輩たちの悪口を気にしているからなのか。
ガラにも無い。
「あー、もぉっ!」何だか色々煩わしくなった。
何で私がこそこそしなきゃならない、と思いつつもやはり私は社食を避けて外出することにした。
大きな商業ビルのこれまた広いエントランスに設置されている社員証スキャナーに、社員証をかざしているときだった。
「塩原先~輩♪」
明るくて独特の高音の声がよく響き、私はその名前に反応してしまった。



