深夜13時の夜行バス



何で――――………

何で塩原の写真が―――?

思わず塩原と顔を見合わせ目を見開いていると

「塩原先輩!先輩を贔屓にしてる株主さんが先輩を呼んでますよ~」と能天気な弓削くんの声で、はっとなった。
「……おー…分かった」塩原は頷き、「俺、あとですぐに警察に通報するわ」と眉間に皺を寄せる。「とにかく前原はここに人を近づかせないように気を付けてて」
「怖いだろうけど、俺、近くに居るし何かあったら必ず駆けつけるから!」

「…う、うん……」私も何とか頷いた。

その場からすぐに離れたかったけれど、塩原に言われたし、言われなくても何故か足が地面に吸いついてそこから動けない。

足が竦んだ、と言うのはこういうことを言うのだろうか。

様々な濃淡の青い薔薇の中上品に白色を配置した元、塩原が株主の誰かにシャンパングラスを勧められていた。塩原は恐縮そうにそれを受け取っている。中身はラフランスジュースだろう。

株主や同僚の中一応笑顔を浮かべているものの、時折ちらりとこちらを心配そうに窺い見ていた。
『大丈夫だよ、すぐに通報する』と言う視線を向けたときだった。

塩原の手からシャンパングラスがまるでスローモーションにように塩原の手から離れて、テーブルに落ち繊細なグラスが割れる音がした。


何!?