深夜13時の夜行バス


そして迎えた新店舗プレ・オープンの日。
株主たちの乗客を得意げに接客していたのは開発事業部と外食事業部の連中が中心だった。

写真館の内装もラフランスジュースも青い薔薇の反響も上々だ。

敦子も奈津美も応援に来てくれた。二人とも私たちの成功を心から喜んでくれた。

そして何故かあの経理部の可愛い子ちゃん―――名前を、何て言ったっけ…ああ、そうだ、確か内海さんて言ったっけ?何で彼女が?
と思ったけれど、弓削くんの言葉でその存在はすぐに薄れた。

「何であの連中(開発事業部と外食事業部)が?何もしてないくせに」と弓削くんが眉を吊り上げる。
「まぁいいじゃん。成功したわけだし」と塩原が宥めている。
「ところで、これって私たちの売り上げ成績になるのかな」

う゛ーん、と顎に手を当て唸っている塩原の手を私は唐突に引き

「塩原、ちょっといい?」
塩原は少しびっくりしたものの「お。おう」と大人しくついてきた。

私たちがたくさん調べた様々な濃淡の青色の薔薇の花が植えられた花壇。特に意味があってそこに行ったわけじゃないけれど

「昨日、葵さんに会った」

充分に声を潜めて塩原に耳打ちすると、塩原は目を開いた。

「何も無かったか!?」塩原は私の両肩を掴んで勢い込んできた。

「う……うん、葵さんは私が偶然拾った乗車券を探していただけで、それが見つかったら、泣きながら……笑ってた。すごく嬉しそうに」
「そっか……てか、幽霊てすぅってその場で消えるもん?」
「ううん、その後すぐに睡魔に襲われてすぐ寝ちゃったから彼女の行方は分からなかった」
「そっか……でも良かった、お前が無事で」と塩原は今にも崩れ落ちそうに膝をがくりと土に着いた。

「あれ……ここに何か……」

急に力が抜けて結構な勢いだったのか、塩原が膝を着いた場所に白い何かが見えた。
「ホントだ。薔薇を埋めるとき気付かなかったのかな。開発事業部と外食事業部の連中のやることってほんとズボラ」と苦笑を浮かべ、
「でも何か埋まってたら薔薇がきれいに育たないね」と土をかき分ける。

そこから出てきたものに、私も塩原も同時に目を開いた。




それは白骨化した



人の手だった。