深夜13時の夜行バス


葵さんは、真珠のような美しい涙を流しながら、その乗車券を私からそっと受け取った。


『ありがとう。

ずっと


ずっと―――


探していたの』


彼女は涙の溜まった目がしらを押さえ、その乗車券を大事そうに胸に抱く。

『あなたが見つけれてくれたのね。

本当に


ありがとう』


彼女はまた私に礼を言った。
私は―――大それたことをしていない。
ただ乗車券を持っていただけ。

でも100年も前の葵さんがこんなに喜んでくれて良かった――――
と思うと同時に、またも眠気に襲われた。


『ありがとう、あなたのおかげであの人に会える』


眠りに落ちる瞬間、葵さんの低い……まるで哂うような声を聞いて、引いて行った寒気がまたも戻ってきて、恐ろしい程の身震いを感じたとき
はっと目が覚めると、そこは私が下りる降車駅だった。

葵さんの姿は―――無かった。

葵さんは―――成仏したのだろうか。

私は乗車券と真珠のイヤリングを探しているのだろうと思っていたけれど、実際葵さんが探していたのは例の乗車券だけだった。

よほど一臣さんの処に行きたかったのだろうか。

それよりも

夢の中で聞いた、あの含みのある哂い声が―――
どうしても気になる。