そして迎えた新店舗プレ・オープン前日前夜。
相変わらず殺人的な忙しさの中、コンビニで買った味気ない弁当を食べながら
「聞いてくださいよ~!奈津美と仲直りしたんです!これでお盆休みにうちの両親に安心して紹介できます」
と弓削くんの場違いな声を聞いて、何故だか緊張の糸がふっと切れた。
「良かったね。今度からキャバクラ遊びは控えなよ」と私がアドバイス。
「あれはあくまで遊びって言うか、殆ど付き合いって言うか」と弓削くんは言い訳がましく唇を尖らせる。
「でも行ったのは事実だろ?奈津美が怒るのは当然だよ」と塩原がから揚げ弁当のすっかり冷めていかにも固そうなから揚げを頬張りながら言う。
「そう言う塩原先輩は行ったことないんすか?
て言うか経理部の内海さんと噂になってますけど、あれホントですか?」と弓削くんが反撃。
「あー、あれね。ちゃんとお断りしたよ」と塩原はあっさり。
塩原の返事に弓削くんは目をまばたき
「何スか!先輩あんな可愛い子をフって!」
「可愛いだけで中身がない女、イヤなの俺は。てかそもそもタイプじゃないし」と塩原は眉間に皺を寄せる。
え―――フった……?
「てことは塩原先輩には本命がいるってことですか?」
「それはトップシークレットだ」と塩原は苦笑い。
「誰っすか!」と弓削くんは興味津々。
「ちょっと、二人とも話逸れてる」
部署は私たち三人がいる会議室以外、全て照明を落としてある。その薄暗い中話す内容としては随分と明るい内容だ。



