私は何とか叔母さんを説得して葵さんの唯一の写真をカフェに飾ることをお願いした。
叔母さんは最初渋っていたものの、結局手渡してくれた。
一通りの話を聞き終え、私たちは郷倉家を後にした。
「しっかし、事情は分かったけれど、唯一の収穫はこの”葵さん”の写真だけかぁ」とモノクロの写真を眺めて塩原がちょっとため息。
「問題の一臣さんの消息がなぁ…」
葵さんの叔母さんも大体の位置しか……それもかなりあやふやな記憶で正直言ってあてにならない。
「消息って言っても、もう亡くなってるみたいじゃない」
「まぁその子孫なり残ってればいいんだけど」
結局降り出しかぁ。
小さくため息をつきながらも、でも葵さんが私に見せてくれた夢、それは一臣さんを探して欲しいってことだよねー――
うん!やるしかない!
と言うかやらないと一生付きまとわれそうでそれが怖い、と言うのが本音。
小さく意気込んで「さ、次当たるよ」と塩原の背中を叩いた。
塩原はちょっと笑った。
「前川のためなら、やるよ」
塩原は微笑んだ。
私は―――願わくば、葵さんの想い人、一臣さんが塩原のようだったらいいな、と思った。
優しくて、あったかくて―――
葵さんが心から愛したひと。
しかし問題の一臣さんの消息を探すのは結構な手間だった。
夕方19時。そろそろ日が暮れてきた。それでも蝉は昼夜問わず元気で、一向に鳴き止む気配がない。
お盆前の真夏日、額から流れる汗が止まらない。唯一塩原の車の中はエアコンが効いていたけれど、その殆どが外での聞き込みだったから。
来ていた白いカットソーが汗でべったりしている。塩原も同じでグレーのTシャツのえりぐりが汗で濃い染みを作って濡れていた。
そろそろ諦めるか……と思った矢先、
「ちょっと待って」と塩原が地図を取り出した。



