深夜13時の夜行バス


■二人の行方探し

三人で夜遅くまで話し合った甲斐があった。
と私はガッツポーズ。

「ヤッタ!やりましたよ!先輩!」弓削くんが子供のように飛び跳ねる。
「夜遅くまで付き合ってくれたおかげだよ」
「いや、前川が図書館まで足を運んでくれて色々調べてくれたおかげ」と塩原が私の頭をぽんぽん。

ちょっと……不意打ちに頭ぽんぽんとか……やめてよね。
無駄に意識しちゃうじゃない。

「あとは先輩の営業トークっすね」と弓削くんはにやり。
「なぁに、それ~」私は弓削くんの頭をでこぴんするフリ。
「さって、これから忙しくなりそうね~、昔の写真を集めなきゃ。ただ歴史書に乗ってる写真だとつまんないし、”リアル”なものが欲しいよね。当時そこに住んでたご老人や民家がありそうな家を当たるか~」

開発事業部と外食事業部の連中はあてにはならなさそうだし。これじゃ合同企画の意味ないじゃない。
ホントに忙しくなりそうだ。

と思っていると、我が部の営業部長が

「三人とも良くやってくれた。私の鼻も高々だよ。どうだ、これからランチでも。うまい蕎麦屋があるんだ。静かだし高いぞ~、俺の奢りだから心配するなよ」
とニヤリと笑い親指を立てる。

弓削くんは
「ホントですか!?ヤッター!!」とゲンキン。

しかし塩原は

「すみません、俺大事なクライアントの打ち合わせがあって、この時間しか時間取れないって言われてて…」と苦笑い。
「何だー、それは残念だな。じゃぁ前川と弓削、三人で行くかぁ」と部長はちょっと残念そうに笑った。
「この時間にクライアントと約束?」と弓削くんは首を捻っていたが

「さぁね。塩原には塩原の予定があるし、せっかく部長が奢ってくれるって言うから行こう」とそっけなく答えると、弓削くんは最初不思議そうに首を傾げていたものの高級蕎麦店と言う所に食いつき、その話はすぐに逸れた。

休憩から戻ってきたら、すでに塩原は席についていた。

「あれ?クライアントとの打ち合わせ終わったんですか?」と弓削くんが聞き
「ああ、思ったよりすんなりまとまった」と塩原はあっさり。
「じゃぁ途中で合流すれば良かったじゃないですか~、豪華な個室で、天ざるは最高に旨かったですよ!刺身もついてて!」
「良かったな。俺はカップラーメン」と塩原は苦笑い。
「弓削くん、蕎麦に浮かれてないで早く仕事」と私が言うと
「はいは~い」と弓削くんはいそいそと席に戻って行った。

塩原の前の席に座る瞬間、塩原と目があった。

塩原はほんの少し切なそうに眉を寄せた。