深夜13時の夜行バス


開発部と外食事業部の連中がそろりとこちらに顔を向ける。

「お前らなっ…!」
塩原がデスクに手のひらを打ち付け、弓削くんも席を立ち上がり彼らを睨んでいた。

「いいよ!塩原、それに弓削くんも」
私は塩原の前に腕を広げ、座ることを促す。
「大丈夫、言われ慣れてるから」真剣に言うと、

「でもなっ…!」
「そうですよ、先輩!」
と塩原と弓削くんは真剣に怒ってくれているようだ。

純粋に嬉しかった。

けど

「私は大丈夫。ここで変な波風立てない方がいいよ」と言うと
塩原と弓削くんはどこか消化不良と言う感じで、しぶしぶ席に座りなおした。

開発部と外食事業部の面々はそそくさ、とその場を後にする。
言われ慣れてる…

平気。

いつもならそう言って終わらせていた。
でも、塩原が本気で怒ってくれたこと、
私、ちょっと嬉しかった。

それから私はその後に控えていたスポーツクラブとの話をまとめるため、資料のチェックを入念に行っていて、塩原は営業先の担当者から電話が掛かってきて慌てて出ていった。弓削くんも同様、営業先でのトラブルとかで呼び出されたようだ。
私の方は大きめの案件、スポーツクラブとのスポーツ飲料水サーバーの契約が無事まとまって、ほっと息を付きながら会社に戻ると、昼休憩の時間だった。

流石に疲れた。

外に行く気にもなれず、今日は社食にした。
大して美味しくも無いカレーライスをスプーンですくいながら、午後に入れてある某飲食店への営業内容、具体的に自分がどう推し進めていくかシミュレーションをタブレット端末で確認していた。

「お疲れ」

四人掛けの四角いテーブル席の向かい側の椅子をがたつかせて
塩原が日替わり定食を乗せたトレーをテーブルに置いた。