深夜13時の夜行バス


どちらからともなく視線を逸らした。

き…キマヅイ…
けれど仕事は仕事だ。
ここでプライベートを持ちこむわけにはいかない。

私は慌てて詳細が書き記されている二枚目をめくった。

そのときだった。

「今回の会議は、開発部と営業部、それから外食事業部合同の新店舗開店前の催し物の会議だ」
と、我が部の営業部長が先陣を切り、会議室に居る従業員が彼を一斉に見た。

資料を見れば分かる。

ペラペラと何枚かをめくって、ざっとした内容を頭に入れる。
「我が社の新店舗、第一号店を起ち上げる為、プレ・オープンパーティーとして、我が社の株主たちを招待したい。
そこで売り出すのがこれ」
と開発部長がズイと前に押し出したのが、

”100% Claude Blanchet”

と書かれたラベルが貼りつけてある高級そうな瓶…スイングボトル(ワインのコルク栓のようなものがついている)で、色はダークスモーク。

ふーん…なる程…ね。私は資料をぺらぺらとめくりながら目を細めた。

Claude Blanchetとはフランス語で、日本語訳にすると「ラフランス」、開発部長が推しているのはラフランスジュースと言うことか。

「今回のテーマは薔薇と、ラフランス。コンセプトは自然と現代社会との調和」営業部長が淡々と説明して
「はい」
誰かが手をあげた。外食事業部の男性社員だ。
「何故、薔薇とラフランス?それに自然と現代社会との調和と言う意味も分かりません」

こうゆう会議に出なれてないのか、資料を見れば分かるじゃない。

会議が長引きそうでちらりと腕時計を気にする。今日は昼近くに一件、某有名スポーツクラブとのアポが入っている。先方はあと一押し、と言うところで今この約束をポシャるわけにはいかない。
「前川さん、分かるかね?君の意見は?」とにこにこ営業部長が私に話を振ってきて
あー、もぉ……これだから会議って嫌いなのよ。
学校の授業なんてもう八年以上前の話なのに、何も知らず、また何かの知識を得ようとしていた学生時代の頃を思い出すが
ここは学校じゃない。