深夜13時の夜行バス


「何それ!てか仕事ができないのを由利のせいにするなんて酷くない!?」
奈津美はまるで自分のように怒ってくれる。

「仕方ないよ、私こんな顔だし、昔っから慣れてる…」
「何言ってンの!みんな由利が美人で仕事できるから嫉妬してるンだよ!」

と割りばしの先を向けられ私は寄り目。

美人で仕事ができる……?

「てかお行儀が悪い」
私は奈津美の割りばしを払うと

「だって、由利は美人だもん。大きなネコ目は目ヂカラがあって、ちょうどいい肉厚的な唇はセクシーで今の赤いリップがすっごく似合ってるし、背が高くてスタイルがいいから今着てるパンツスーツとかバシっと着こなせて」

「いやいや…それは過剰評価し過ぎでしょう」

赤面ものの奈津美の独白に、から揚げが喉につまりそうになった。

つり目は昔から『性格悪そう(もしくはキツそう)』とか言われたし、唇は『いかにも男を誘惑しそう』とか、奈津美の言う通り身長が高いから十センチピンヒールを履いている今、普通の男性社員とほぼ同じ目線になる。
それがコンプレックスなのだ。

「あーあ、私だって由利みたいな美人だったら…、とか想像するもん。たかくんが私を選んでくれたのが奇跡ってぐらい」
「奈津美は女の私から見ても可愛いよ」

小柄で華奢で色白でふわふの髪、いつも潤んだような大きは瞳、ほんのり桜色に色づいた唇……
が、今はチキン南蛮をガツガツ頬張っている。そのうるうる潤っている唇はグロスなのか油なのか判断できない。

私は奈津美の食欲にも、勢いにも押されて、その後まともに会話できたのかは分からなかった。