青春あまねく恋泥棒



思わず呟いてしまった。幸い聞こえてなかったみたいだけど。

多分もう遅い。

私がしたい理想の恋愛をさせてくれるような気がした。

安易にそう思ってしまった。

だから、これまた安易に、好きになってしまった。

ムキになってるのは私の方だ。


「…また明日」

「いやこの後また教室で会うじゃん」

「屋上でご飯食べるのは明日でしょ」

「それ容認してくれるんだ」

「断ってもしつこそうだから」

「俺のこと分かってきたじゃん」


その日の放課後は、怜弥くんは部活で、一緒に帰ることはなかった。

それでも、朝は必ず挨拶してくるし、昼は晴れてれば屋上で食べるようになった。雨の日は各々友達と食べているけど。


「今日雨だ。最悪。雨大嫌い」


拗ねてる怜弥くんは、どこか子どもっぽくて可愛かった。


「なんで?」

「閑姫と昼食えないじゃん」

「まあね」

「でも今日、部活無いから一緒に帰れる」

「そうなんだ。へー」

「興味もてよ」


そんな他愛無い会話をできるようにはなった。